2020年以降、Shpoifyを使ったECサイト構築が急速に広まってきました。
それに伴い、アプリ開発の需要が高まりエンジニアの採用も活発になっています。
しかし、アプリ開発には高い専門知識を要求されることや、独自のガイドラインやレート制限があり、初心者にはハードルが高い開発となっています。
そこで今回は、Shopifyアプリ開発の初心者向けに入門編をご紹介いたします。
Shopifyアプリとは
Shopifyアプリは、Shopifyストアの機能や性能を拡張するためのソフトウェアプラグインです。これらのアプリはShopify App Storeで提供され、ストアオーナーはそれを自分の店舗に簡単に追加できます。
また、特定のストアに独自のアプリを追加するカスタムアプリもあります。
アプリは多様な用途に使用され、以下のような機能拡張が一般的です。
主な機能カテゴリ
- 在庫管理: 在庫レベルのトラッキング、自動発注、など。
- マーケティング: SEOの改善、Eメールマーケティング、ソーシャルメディア広告など。
- セールス: アップセルやクロスセル、ダイナミックプライシングなど。
- 顧客サービス: チャットサポート、FAQセクションの作成、顧客のフィードバック収集など。
- 分析とレポート: 売上、トラフィック、顧客行動などのデータ分析。
- 支払いと配送: 異なる支払いゲートウェイの統合や、配送オプションの拡充。
技術的側面
- API連携: Shopify APIを使用して、ストアとアプリが通信できるように設計されています。
- 言語とフレームワーク: Ruby on Rails、Node.js、PHPなど、様々なプログラミング言語とフレームワークで開発できます。
- セキュリティ: OAuth認証、HTTPS通信など、セキュリティ面でも優れています。
利点と欠点
利点機能拡張が容易
高度なカスタマイズが可能
コミュニティとサポートが充実
欠点複数のアプリを使用すると、費用がかかる場合がある。
アプリ間での競合や互換性の問題が発生する可能性がある。
以上のように、Shopifyアプリはストア運営に多大な便益をもたらすツールですが、選択と導入には慎重な検討が必要です。
Shopify アプリストアへの登録
アプリ開発者は、登録手続きについて詳しくはこちらをご覧ください。
開始するには
「スタートガイド」を使用して、初めてのShopifyアプリを作成できます。APIキーの取得、テストショップの作成、APIの操作について説明します。
アプリを送信して承認を得ます
アプリがShopifyの要件を満たしている場合は、Shopify アプリストアで販売を開始できます。アプリが承認されたら、新しいアプリで成功するためのヒントに従ってください。
収益を得るには
ShopifyのBilling APIを使用すると、定期的な月額課金や1度限りの購入に対するお客様への請求が簡単になります。パートナーダッシュボードの [アプリ] ページに、各アプリの詳細な収益とインストールに関する指標が表示されます。
Shopifyアプリ開発の手順
Shopifyアプリの開発は独自のプロセスとガイドラインがあります。以下は、一般的な開発の流れを簡潔にまとめたものです。
1. アイデアと計画- ニーズ分析: ターゲットとするShopifyストアオーナーのニーズを分析します。
- 競合分析: 既存の同様のアプリとの競合を調査します。
- 機能定義: アプリが提供する主要な機能とユースケースを明確にします。
- Shopify開発者アカウント: Shopify開発者アカウントを作成します。
- 開発ストア: テスト用のShopifyストアを設定します。
- 開発ツール: 必要な開発ツール(例:テキストエディタ、バージョン管理システム)をセットアップします。
- プログラミング言語: Ruby on Rails, Node.js, PHPなどを選びます。
- フレームワーク: 適切なWebフレームワークを選択します。
- データベース: MySQL, PostgreSQLなどのデータベースを選びます。
- API連携: Shopify APIとの連携を確立します。
- 認証: OAuthを使用して認証のフローを設定します。
- コア機能: 定義した機能を開発します。
- 単体テスト: 各機能の単体テストを行います。
- 結合テスト: アプリ全体が連携して正しく動作するかを確認します。
- ユーザーテスト: 実際のユーザーによるテストを行います。
- App Store準備: Shopify App Storeに公開するためのメタデータやスクリーンショットを準備します。
- レビューと承認: Shopifyによるレビューを通過する必要があります。
- モニタリング: アプリのパフォーマンスとエラーを監視します。
- フィードバック収集: ユーザーからのフィードバックを収集し、改善点を見つけます。
- アップデート: 新機能の追加やバグの修正を定期的に行います。
以上の各ステップは繰り返し行われる場合が多く、アジャイルな開発手法が一般的に用いられます。注意点としては、ShopifyのガイドラインとAPIの制限に常に注意を払い、アプリがそれらに適合しているかを確認する必要があります。
では、具体的なアプリ開発の流れを解説していきます。
Shopifyアプリ開発の開発環境の設定
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Shopify開発者アカウントの作成
- 公式のShopify Developer Portalにアクセスして、開発者アカウントを作成します。
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開発ストアの設定
- 開発者アカウントから、テスト用のShopifyストアを作成します。
- このストアは無料であり、アプリの動作を確認する場で使います。
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開発ツールのインストール
- コードエディタ(例:Visual Studio Code, Sublime Text)
- バージョン管理システム(例:Git)
- 依存関係管理ツール(例:npm, Node.js 16以上, Bundler for Ruby)
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ローカル環境の設定
- 選んだプログラミング言語とフレームワークに適したローカル開発環境を設定します。
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APIキーとシークレットの取得
- Shopifyパートナーダッシュボードで新しいアプリを作成し、APIキーとシークレットキーを取得します。
アプリの構築手順
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APIの連携
- Shopify APIとの通信を確立するために、OAuth認証を実装します。
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データモデリング
- アプリで必要なデータの構造(例:データベーススキーマ)を設計します。
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ルーティングとコントローラ
- ユーザーのリクエストを適切なアクション(例:データの取得、表示、保存)にルーティングします。
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ビューの作成
- ユーザーインターフェース(UI)を作成します。これは通常、Shopify公式のデザインモジュールPolarisを使用して行います。
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ビジネスロジックの実装
- アプリが提供する主要な機能(例:在庫管理、マーケティング自動化など)をコードで実装します。例えば、次のようなロジックが考えられます。
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APIコール
- Shopify APIを使用して、ストアデータを取得、更新、削除します。
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Webhooks
- Shopifyストアで特定のイベント(例:新しい注文が作成されたとき)が発生したら、自動的に通知を受け取るようにWebhooksを設定します。
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エラーハンドリング
- アプリが遭遇する可能性のあるエラーに対処するためのロジックを実装します。
Shopifyアプリのコア機能
Shopifyアプリの代表的な機能としては、以下のようなものがあります。
1. App Bridge
- 目的: App Bridgeは、Shopifyアプリが統一されたユーザー体験を提供するためのJavaScriptライブラリです。
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主要機能:
- アプリ内のナビゲーション
- モーダルダイアログや通知の表示
- データの送受信
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利点:
- 統一されたUI/UX
- クライアントサイドとサーバーサイドの両方で動作
- 高度なセキュリティ機能
2. Webhooks
- 目的: Shopifyストアの特定のイベント(新しい注文、商品の削除など)に対してリアルタイムで反応するための仕組み。
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主要機能:
- イベントトリガー(例:注文作成、顧客更新)
- データの非同期送信
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利点:
- リアルタイムのイベント処理
- サーバー資源の節約
- カスタマイズ性が高い
3. OAuth認証
- 目的: Shopifyストアとアプリ間のセキュアな認証を提供。
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主要機能:
- アクセストークンの取得
- スコープに基づいた権限管理
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利点:
- 高いセキュリティ
- 柔軟なアクセス制御
4. REST APIとGraphQL API
- 目的: プログラム的にShopifyストアのデータを操作するためのインターフェイス。
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主要機能:
- データの取得、更新、削除
- クエリの柔軟性(特にGraphQL)
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利点:
- データに簡単にアクセス
- 高度なクエリオプション
5. Polaris
- 目的: Shopifyのデザインシステムで、一貫性のあるユーザー体験を提供。
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主要機能:
- UIコンポーネント
- デザインガイドライン
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利点:
- 統一感のあるUI
- 高いユーザビリティ
これらの機能は、アプリ開発において頻繁に使用されるもので、それぞれが特定の課題やニーズに対応しています。適切にこれらの機能を組み合わせることで、効率的かつ効果的なShopifyアプリを開発することが可能です。
Shopifyアプリ開発の注意点
Shopifyアプリ開発においては、いくつかの注意点があります。以下に主なものを挙げておきます。
1. ガイドラインとポリシーの遵守- Shopifyは特定のガイドラインとポリシーを設定しています。これに違反すると、アプリがApp Storeから削除される可能性があります。
- ユーザーデータの扱いや認証(OAuth)には細心の注意を払う必要があります。
- HTTPSを用いてデータを安全に転送すること。
- Shopify APIにはレートリミットがあり、これを超えると一時的にアクセスできなくなります。
- アプリが多くのストアで使用される場合、スケーラビリティに注意が必要です。
- 統一感のあるUI/UXを提供するために、できればShopify PolarisやApp Bridgeを使用すること。
- インストールやセットアッププロセスを簡単にする。
- 適切なエラーメッセージとリカバリー手段を提供すること。
- ロギングとモニタリングを設定して、問題を早期に発見できるようにする。
- 単体テスト、結合テスト、エンドツーエンドテストを十分に行うこと。
- 特に金銭取引や在庫管理など、重要な機能に対するテストは徹底的に行うべきです。
- Shopify APIのバージョンが頻繁にアップデートされる場合があり、後方互換性がない場合もあるので注意が必要です。
- アプリ自体のアップデートプランを明確にし、ユーザーに対してその情報をしっかりと伝える。
- インストールガイド、FAQ、トラブルシューティングガイドなど、十分なドキュメントを提供すること。
- ユーザーサポート(Eメール、チャットなど)を確立する。
これらは一例であり、特定のアプリやビジネスモデルによっては他にも考慮すべき点があるかもしれません。しかし、これらの注意点は一般的なフレームワークとして多くの場合に適用されます。
まとめ
Shopifyアプリ開発は、オンラインビジネスの多様なニーズに対応する強力なツールです。
しかし、アプリ開発は単なるプログラミングスキルだけでは不十分。
それ以上に必要なのは、実用的な知識、RemixフレームワークやGraphQL APIなどの最先端技術、そして実際のビジネスニーズに対応できる能力です。
しっかりと学習したい方はShopifyアプリ開発のオンラインスクールの受講を検討するといいかもしれません。