株式会社Forest Bookでは、新たに「ECアプリ研究所」というメディアを立ち上げました。
ECアプリ研究所は、Shopifyアプリについて徹底的に調査し、ストア運営に課題を抱えているマーチャントにとって、実際に役立つ情報を提供することを目的としたメディアです。
ただし、今回このメディアを立ち上げた理由は、単に新しいブログを作りたかったからではありません。
もう一つ、大きな目的がありました。
それが、
「AIを使うことで、ブログメディアの運営をどこまで自動化できるのか」
を実際に試すことです。
現在、ECアプリ研究所では、
何の記事を書くかを調査する
Shopifyやアプリについて情報を収集する
記事の構成を考える
本文を執筆する
記事の内容を評価する
問題がある箇所を修正する
といったブログ制作の工程の多くをAIによって実行しています。

その結果、現在ではブログ運営そのものをかなりの部分まで自動化できるようになりました。
今回は、ECアプリ研究所で実践している「AIによるメディア運営」の考え方について紹介します。
「AIにブログを書かせる」だけではうまくいかない
生成AIを使えば、ブログ記事自体は簡単に作れます。
例えば、
「ShopifyのSEOアプリについて3,000文字の記事を書いて」
と指示すれば、数十秒でそれらしい記事が生成されます。
しかし、実際にメディアを運営するとなると、これだけでは十分ではありません。
問題になるのは、記事を書く前の調査です。
例えばShopifyアプリを紹介する記事を書く場合でも、
Shopifyの標準機能ではどこまで対応できるのか
現在どのアプリが提供されているのか
それぞれのアプリにはどのような違いがあるのか
料金はいくらなのか
どのようなストアに向いているのか
Shopify公式ドキュメントには何と書かれているのか
情報は現在も有効なのか
といったことを確認する必要があります。
つまり、質の高い記事を作るためには、
文章生成よりも、その前段階にある情報収集の品質が重要です。
そこでECアプリ研究所では、「AIに記事を書いてもらう」という考え方ではなく、
調査から記事完成までの一連の工程をAIに実行させる
という設計にしています。
まずAIに「何を書くべきか」を調査させる
ブログ運営では、そもそも「次に何の記事を書くか」を考える必要があります。
人が運営する場合、
Google検索
競合メディア
Shopify App Store
Shopify公式ドキュメント
SNS
自社で受けた問い合わせ
などを調べながら記事テーマを考えることになります。
ECアプリ研究所では、この部分についてもAIを利用しています。
例えば、
「Shopifyアプリ」
「Shopify App」
といったテーマを軸に、
どのような検索ニーズがあるか
現在どのような記事が上位表示されているか
既存記事では何が不足しているか
マーチャントがどのような課題を抱えているか
日本だけでなく海外ではどのような情報が検索されているか
を調査します。
その結果から、次に作る記事の候補を決めていきます。
つまり、編集者が毎回ゼロから「今日は何を書こう」と考えるのではなく、
市場調査そのものをAIに担当させる
という考え方です。
記事を書く前に、徹底的に調査する
記事テーマが決まったら、そのテーマについて情報を収集します。
ECアプリ研究所では、この調査工程を特に重視しています。
例えば、
「Shopifyの変更履歴を確認できるアプリ」
という記事を書く場合。
いきなりAIに記事を書かせるのではなく、まず、
Shopify公式ドキュメント
Shopify App Store
各アプリの公式サイト
料金ページ
ヘルプドキュメント
海外の記事
実際の機能説明
などを調査します。
そして、
「どの情報が公式情報なのか」
「どの情報が推測なのか」
「確認できなかった情報は何か」
まで整理します。
ここが重要です。
生成AIは文章を書くことは得意ですが、何も調査させずに書かせると、もっともらしい誤情報を含む可能性があります。
そのため、
AIに文章を書かせる前に、AIに一次情報を集めさせる。
という順番にしています。
調査結果をもとにAIが記事を書く
調査が終わったら、その情報をもとに記事を生成します。
このときも、
「調べた内容をブログにしてください」
という単純な指示ではありません。
記事ごとに、
誰に向けた記事なのか
読者が抱えている課題は何か
検索意図は何か
記事を読んだあと何を判断できるようにするのか
どの情報を優先して説明するのか
どのような情報は断定してはいけないのか
などを指定します。
ECアプリ研究所の基本方針は、
「アプリを紹介する」のではなく、「マーチャントが判断できる情報を作る」
ことです。
そのため、
「おすすめアプリ10選」
のようにアプリを並べるだけではなく、
Shopify標準機能で対応できるケース
アプリが必要になるケース
アプリごとの違い
料金体系
注意点
どのような運用に向いているか
まで整理するようにしています。
AIが書いた記事を、別のAIに評価させる
さらに、記事を書いて終わりにはしていません。
生成された記事を、再度AIに評価させています。
例えば、
読者の検索意図に答えているか
根拠のない断定がないか
調査した情報が正しく反映されているか
説明不足の箇所がないか
同じ内容を繰り返していないか
SEOだけを意識した不自然な文章になっていないか
マーチャントが実際に判断できる内容になっているか
といった観点でチェックします。
そして問題があれば、AIに修正させます。
つまり、
AIが記事を書く → AIがレビューする → AIが修正する
という工程です。
ソフトウェア開発で例えるなら、
実装したコードに対してコードレビューやテストを行うようなものです。
生成AIを使ったコンテンツ制作でも、
「生成」と「評価」を分離すること
が重要だと考えています。
AIによってブログ運営の大部分を自動化できた
この仕組みを作ったことで、人間が毎回、
Googleで調べる
↓
テーマを考える
↓
資料を読む
↓
構成を考える
↓
記事を書く
↓
読み直す
↓
修正する
という作業を行う必要がなくなりました。
現在は、
調査 → 企画 → 執筆 → 評価 → 修正
という一連の流れを、AIがかなりの部分まで実行しています。
もちろん完全放置ではありません。
特に、
事実関係
AIが参照した情報源
自社の考え方を含む部分
誤解を招く可能性がある表現
については、人間による確認が必要です。
重要なのは、
人間の作業をゼロにすることではありません。
人間が毎回すべての作業をする状態から、
「AIが作業し、人間は判断する」状態に変えること
です。
これだけでも、メディア運営に必要な作業量は大きく変わります。
AI活用の本質は「文章生成」ではなく「業務フローの設計」
生成AIというと、
「文章を書いてもらう」
「コードを書いてもらう」
「画像を作ってもらう」
といった使い方が最初に思い浮かびます。
しかし、実際に業務でAIを活用していくと、それだけでは不十分だと感じます。
今回のECアプリ研究所でも、最も重要だったのは記事生成そのものではありません。
重要だったのは、
ブログ運営という業務を工程に分解すること
でした。
ブログ制作を、
市場調査
記事テーマ決定
情報収集
情報整理
記事構成
本文生成
品質評価
修正
公開
という工程に分解する。
そのうえで、
「どの工程ならAIに任せられるか」
「どこで別のAIによるチェックを入れるか」
「どこだけ人間が判断するか」
を設計する。
すると、
単発のAI活用ではなく、AIを組み込んだ業務フロー
になります。
これはブログだけの話ではありません。
営業リスト作成、提案資料作成、市場調査、競合調査、要件定義など、多くの業務で同じ考え方を応用できます。
「AIに仕事を頼む」から「AIが仕事を進める仕組みを作る」へ
これまでは、
「ChatGPTに文章を書いてもらう」
「Claudeに調査してもらう」
といった、1回ずつAIへ仕事を依頼する使い方が中心でした。
しかし、AIを業務に本格的に組み込むのであれば、次の段階があります。
それが、
AIが決められた業務フローを継続的に実行する仕組みを作ること
です。
今回のECアプリ研究所は、その一つの実験でもあります。
AIが市場を調査する。
AIが記事テーマを考える。
AIが情報を集める。
AIが記事を書く。
AIが記事を評価する。
AIが修正する。
人間は、その仕組み自体を設計し、最終的な判断をする。
この形まで作ると、AIは単なる便利な文章生成ツールではなくなります。
業務を実行する一つの仕組みになります。
テックギークでは、今後もこうした「AIを使って何かを作る」だけではなく、
AIを組み込んで、仕事そのものをどう再設計できるのか
という実践例について発信していきたいと思います。
ECアプリ研究所
Shopifyアプリの選定・導入・設定・活用方法から、業務効率化や売上改善につながる運用ノウハウまで、EC担当者向けの情報を発信しています。
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